悪玉コレステロールと善玉コレステロール
コレステロールは細胞膜や各種ホルモン、ビタミンDの生産に欠かせない物質で、身体のすべて細胞にとって必要な物質です。コレステロールは食物から身体に取り入れるほかに肝臓のなかで作られ、リポタンパクと呼ばれる物質となって血液に乗って運搬されています。リポタンパクは含まれる成分によって比重が異なり高比重のHDL, 低比重のLDLなどに分けられます。この違いは役割の違いでもあります。悪玉と呼ばれるLDLはコレステロールを多く含み体中の細胞へのコレステロール補給を担っています。善玉とされるHDLは組織であまったコレステロールを肝臓に戻すときの姿です。LDLは血管にくっつきやすい物質であり、活性酸素などで酸化されるとさらに厄介な酸化LDLとなります。血管には、くっついて来るLDLや酸化LDLを処理する働きがありますが悪玉コレステロール(LDL)が多かったり、血管が障害されて処理能力が下がると処理しきれなくなり血管の壁に脂質が蓄積し動脈硬化巣(アテローマ)が出来始めます。
HDLは組織から肝臓へのコレステロール運搬を担っています。HDLが高いことはあまったコレステロールが順調に処理されていることを示しています。前にあげた例の方のHDLが32ではなく72と高い場合はLDLコレステロールは141となり, 総コレステロールが254であったとしても狭心症・心筋梗塞の発症率は年間0.1%以下となります。悪玉と善玉の比率が大きな問題であると考えられます。
生活習慣病検診でご自分のコレステロールの実態を知ることが動脈硬化症を予防する第一歩であると言えます。合わせて糖尿病や高血圧のチェックが大事です。そのために生活習慣病検診をお勧めします。