動脈硬化症とは?
年齢につれて動脈がある程度硬くなるのは避けられませんが、高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙などの要素(危険因子)が加わると動脈硬化の進行は年齢より進み、血管が実年齢より早く老化してゆくことになります。このような動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞の原因となります。これらの病気は前兆なしに起こることも少なくありません。ひとつひとつの危険因子の程度は軽くても、異なる危険因子が重なりあうことで動脈硬化はより起こりやすくなります。
動脈硬化の判定
全身の動脈硬化の判定するために当院では脈波を用いた動脈硬化指数を測定しています。4肢の血圧と心音、心電図を同時に測定するだけであり特に苦痛はありません。これにより動脈硬化程度の推定や血管閉塞の有無などが測定できます。実年齢と比較した血管年齢が推定できますが、大事なのは他人との比較ではなく、個人における動脈硬化程度の変化を見ることです。
生活習慣病検診の結果から狭心症・心筋梗塞の起こりやすさを見てみましょう。
65歳男性で総コレステロール 254 HDLコレステロール 32 中性脂肪 205
であったとします。
まず悪玉のLDLコレステロールを計算します。
総コレステロール−HDLコレステロール−(中性脂肪÷5)ですから
LDLコレステロールは254-32−(205÷5)=181となります。日本人約50000人を追跡した研究から推定すると、この方が6年後の71歳までに狭心症・心筋梗塞を起こす率は約3.7%で、年間に換算すると約0.6%となります。もし、高血圧症・糖尿病があり愛煙家だとすると発症率は16.7%となり、年間発症率は約2.8%、実に4倍以上心筋梗塞になりやすいことになります。